【面白かったのでちょっと解説】『33の思考実験』

33の思考実験

こんにちは。Jonです。

本日は少し異端ですが『論理的思考力を鍛える33の思考実験』という著書の内容を、ちょっと紹介します。

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』

めっちゃ頭使いますが、ドラクエより面白いです^^。
そんな思考実験を3つ紹介します。

 

Case1.「1人をヤるか、5人を見捨てるか」【倫理観を試す思考実験】

ある村で大事件が起きています。大罪を犯した糸井犯人を捜して村人が暴徒化し、各々武器になりそうなものをもって気を高ぶらせているのです。

犯人とされている人はよそ者で、よそ者であるがため村人は何としてでも彼の息の根を止めてやろうと血眼になってその犯人を捜しているのです。村人たちも普段は他人を尊重する普通の人々です。

貴方はその犯人とされる男をかくまっています。彼は、本当は罪を犯しておらず、あなたはそれを知っています。暴徒化した村人は荒ぶる気持ちを抑えきれず、あちこちの家に押しかけては犯人捜しを強行し、収まる気配がありません。

唯一村人たちを抑える方法は、あなたが無実のよそ者を彼らに差し出すことで、そうすれば差し出された無実のよそ者が殺されることで事態は収束します。しかし、このまま何もせずに成行きに任せると、暴徒化した村人が暴れ、混乱の中で暴徒化した村人のうち5人が犠牲になることがわかっているとします。

無実のよそ者を差し出すか、暴徒化した村人のうち5人が死んでしまうのを黙ってみているか、どちらを選びますか?

実際には「暴徒化した5人が犠牲になる」ことが分かるはずもありませんが、それができるのが思考実験の面白さです。設定として決まっていることは決して疑わずに、考えてみてください。

あなたは「よそ者1人の死」「村人5人の死」どちらを取りますか?

単純に数で比較するなら、1人が犠牲になる方を選ぶでしょう。
しかし、この問題では多くの人が暴徒化した村人5人犠牲になる方を選びます。

人は「積極的義務」と「消極的義務」という二つの義務がぶつかったとき、多くが消極的義務を優先する傾向にあるようです。(この場合だと「村人を救うために無実のよそ者を突き出す」が積極的義務、そして「よそ者に害を与えない(つまり、何もしない)」が消極的義務になります)。

 

Case2.「5億年ボタン」【矛盾についての思考実験】

変なアルバイトを探しているスネ郎とジャイ太。

ジャイ太がトニオに良いアルバイトがないかと問い詰めると、トニオがあるアルバイトを紹介します。

「いいかどうかは分からないでちゅけど」と前置きしつつも、「一瞬で100万円稼げるバイト」というのです。驚くスネ郎とジャイ太に、トニオはさらに説明を続けます。

・仕事内容は簡単で誰でもできるもの
・一瞬ボタンを押すだけ
・ボタンを押すと微弱な電流が流れて何もない空間にワープする
・ワープした先で5億年を過ごす

「ずーっと一人でコーユー何もない空間でただひたすら『生きてろ』っていうバイト。やりまちゅか?100万円のために」

トニオの説明によると、意識ははっきりしており、眠ったり死んだりできません。ただ、終わった瞬間に5億年分の記憶はすべて消され、もとの「やる」と言った瞬間に元の状態で戻れるのです。

そして「もう終わったの?一瞬で100万円手に入ったじゃないか」と感じるというのです。

あなたはこのボタンを押しますか?

こちらは菅原そうた氏のマンガ『みんなのトニオちゃん』からの引用です

かなり有名な実験ですね?しかし、答えはあまり知らないはず。

「押す」という人は、人生において結果を重視する人です。

結果を考えればやらない理由などどこにもありません。体が衰えるわけでもなければトラウマが残るわけでもなく、ボタンを押す直前からの記憶は連続していて、ただボタンを押しただけで100万円を手に入れたたという記憶が、ハッキリと脳に刻まれます。

そこには5億年などどこにも残っていません。押す瞬間はコワいかもしれませんが、押してしまえばなんてことはありません。一瞬で5億円が手に入ります。

「押さない」という人は、結果より家庭を重視する人でしょう。

たとえ感覚として100万円を手に入れることができるとしても、現実に5億年は存在し、ボタンを押せば5億年を経験することになるのは明らかです。

そこは時給0.002円の世界です。どんなに気が狂おうと、死ぬこともできなければリタイアもできないのです。それほどの苦痛を味わうと分かっていて、たった100万円で引き受けるでしょうか?

実のところ、人間性が分かる思考実験なのでした^^。

 

Case3.「コンピュータが支配する世界」【不条理な世の中を生き抜く】

時は2217年。コンピュータは飛躍的な進歩を遂げました。ヒトの脳を完璧に解析し、その人の記憶や性格まで導き出してしまいます。そして、そこから未来を予測できるようになったのです。

人々はコンピュータに自分の子供を解析させ、最も適した職業を選ぶこともできます。自分の好みを分析させて住みたい街を選ばせたり、自分の能力を分析させて才能のある道を見つけ出したり、読みたい本はコンピュータが瞬時に選んでくれたりと便利なことばかりです。企業の側から見ても、会社に必要な脳を選ぶことができるようになり、スカウトもコンピュータが自動でやってくれます。

自分の能力がどれほどなのか現状が分かるだけでなく、現在の脳の状態から未来を予測することができます。無駄な努力をすることもなくなり、人生を無駄なく送ることができるようになりました。

結婚も一気に身近なものになりました。自分の脳情報をコンピュータに登録し、自分に合った異性をコンピュータに見つけさせ、一度も会うことがなくとも運命の人が見つかります。この機能により、顔も知らぬまま結婚を決める人さえいるほどです。

警察も難しい操作を行う必要さえなくなります。事件が起これば少しでも疑いのある人を片っ端から捕まえてコンピュータに脳を調べさせれば、瞬時に記憶が詮索され、犯人かそうでないかが分かります。このため犯罪率そのものが低下し、町は以前より安全になりました。それどころか将来犯罪を起こしそうな人までわかるようになりました。犯罪を起こす確率が高い人はあらかじめ逮捕し更生プログラムを受けさせることが可能になったのです。これでさらに町の安全度は上がります。

国は国民の平和と快適な生活、そして国の発展のために12歳以上の国民に1年に一度脳情報を登録することを義務付けました。

果たしてこれは望むべき未来の姿なのでしょうか?

こういった世の中は、「いずれ来る」と言われていますね。しかし、身近に考えると、かなりヤバいことに気づきます。

好きな道を選ぶな!

あなたは大好きな絵を仕事にしようと画家を目指して毎日絵を勉強していました。ある時、脳情報を登録した際にコンピュータから「画家は向いていない」と診断され、美術学校は入学を許可しないと評価されます。両親は画家の道をあきらめさせ、代わりにコンピュータが提案した、向いている「エンジニア」をすすめます。

あなたは自分の絵の良さはコンピュータにはわからないと反骨心を抱きますが、世間はコンピュータが認めた人の絵以外を、高く評価することはありません。

あなたの志は、無駄なのです。

努力はムダ。あなたの人生はコンピュータに操作される 

手芸の趣味が高じて、店をオープンしました。なかなか愛嬌のある絵柄が、一時的に人気になりました。しかし、その人の手芸の才能が人並み程度と知った人々は、その愛嬌のある絵柄に魅力を感じなくなりました。なんせ才能は凡人です。

素人の作品だと批判され、人気だったはずの絵柄自体に変化はなくとも、コンピュータがはじき出した結果によってのみ、人々に評価されるかが決定されます。

あなたの運命はすべて、コンピュータが握っています。

こんな未来をあなたは望みますか?
多分、多くの人がいいえ、と答えるはず。

僕が思うのは、自分の努力次第でのし上がれる今の時代は最高だということ。

そして、この恵まれた時代に、恵まれた日本で生まれた僕たちは、努力しないことが罪ともいえるなぁと…ご飯も食べれるし、ちょっと失敗しても世間にバレないし、自分の人生も選べる、近い将来にそんな当たり前のことができなるなるかもしれません。

だから、今一生懸命、生きましょう^^。
なんか哲学的になっちゃいましたが、以上です笑